Everyday is a happyday♪

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ア行(浅田次郎 他)

読書ノート

@あ行@
 
浅田 次郎
『日輪の遺産』
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戦後48年。帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に秘匿し 時価200兆円にのぼる財宝。その謎がいま明らかにされようとして いる。鍵を握る黒革の手帳に記された驚くべき真相。財宝をめぐって 展開する息づまる冒険スペクタクル。 (「MARC」データベースより) ======================================================
いかにも浅田氏らしい軽快な筋運びに、ページが進み、一気に読み終わりました
↑の冒険スペクタクル、って評は、いくらなんでも大げさ すぎるのでは?(笑) でも、終戦時の緊迫した世情の下で、将来の日本のために宝物を 隠そうとする人々と、それを探し出そうとする人々、それぞれの 真剣な心情がひしひしと伝わってきて、熱さ感じるストーリーでした。 彼の作品を読むたびに思うことは、グイグイと物語の世界へ 引き込む筆力の鮮やかさ☆ それが大きな魅力です。   ただ、彼の作品には、どうしても「あざとさ」を感じてしまうのが 、私的には、ちょっと気になるところ。 一番最初に読んだ『鉄道員』も「泣かせ」の上手さにビックリした ものの、独特のベッタリ感が馴染めなくて・・・ ちょっとひいてしまいました^^; 唯一『蒼穹の昴』はドライ感があるかも? 西太后、李鴻章など歴史上の人物が実に生き生きと描かれてるし、 科挙試験など、これまで知らなかった中国の歴史の細部にも スポットをあてられてて、興味深く読めました。 『地下鉄に乗って』は戦後のドサクサを、意表をつくタイムトリップ ものとして描くノスタルジックな作品。 レトロ感が、面白かったです。 どの作品も娯楽作品として完璧で、その巧みなストーリーテラーぶり には脱帽なんですが・・・ 彼の作風って「悪意」のある人物が少なく、「根っこは皆いい人」的な眼点。 そのへんが、どうも私の「好み」とは相容れないものを感じます(笑)
 
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 安住 洋子 (著)
『夜半の綺羅星』

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老舗の紙問屋の跡取りとして生まれた達造。
しかし、祖父、父が相次いで病死。婿に入った継父とは不和。
弟妹が生まれ、居場所を失う。子守奉公のおたえとの交流だけが
、心の支え。だが、やはり家に居づらく出奔。目明しの下っ引き
になるが、持って生まれた真摯さはなくしていない。殺人事件の
犯人を追ううち、実家が火付け盗賊に遭い、一家は惨殺、家は焼失
の憂き目に。女中のおたえだけが生き残る。非運にもめげず、闇に
潜む悪を追う達造だが…(「BOOK」データベースより)
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江戸情緒が細かいところまで書かれていて、その優しい目線が 優しい、静かな佇まいの作品です。 最初は淡々と進んでいくんですが、読み進めるにつれ、 登場人物達の生き様に、どんどんと引き込まれていって、 最後はあたたか且つ静かな感動に包まれ、思わず涙ぐんで しまいました
続編の「しずり雪」も、シットリと味わい深い作品です。
 
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池澤夏樹
『イラクの小さな橋を渡って』

「もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、 そこが知りたかった」という作者の言葉どおり、イラク戦争開戦前の イラクで彼が見た、普通の人々の暮らしが写し出されてます。

美味しい野菜や果物が豊かに並んだ市場や屈託ない笑顔の 幼子や老人たち・・・・ TVやマスコミから見えてくるのは米国から見たイラクの姿ばかり ですが、この本から伝わるのは、メソポタミア文明の末裔たちが 穏やかに「普通に」暮らしてる姿です。 20×14センチ約90ページほどの絵本のような美しい本です。 ぜひ一度、みなさんに手にとって欲しいな~

『パレオマニア』

大英博物館を出発点としてギリシャ、エジプト、インド等 博物館収蔵品のふるさとを訪ねる旅。。。。。 古代文明好きには、たまらない一冊です! ページをめくるほどに胸が高鳴るほどのときめきを覚えて しまい、すっかり惚れこんでしまいました。 なので、珍しく「これは自分の手元に置きたい!!」と、購入を 決定~☆ \(^0^)/
少々高価だけど、気持ちが塞いだ時に読むと、空翔るような 高揚感を手に入れることが出来そうです♪ 一気読みするのはもったいないので、薫り高いお酒を、コッソリとチビチビ舐めるかのように、 楽しみたいと思います(^m^)

 
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乙川優三郎


『生きる』

【内容】
亡き藩主への忠誠を示す「追腹」を禁じられ、懊悩の年月を
生きる初老の武士。人の世に生きる切なさを格調高く描く、
感動の中篇集 (amazonより)


久々に、読後、涙してしまいました。
恩ある藩主の後を追って殉死することを家老に止められ、
そのことを誰にも話せず、一人悶々と世の批判を浴びながら
生きながらえる武士の苦悩には身につまされます。

周囲の誤解を甘んじて自分ひとりの身に受け、中傷や家族
友人からの軽蔑すら受けながら、生きながらえねばならない
苦しさ。
ただ一人、支えてくれた妻も病のはてに先立ち、一人残され
、自分を理解してくれる者が一人もいない孤独感。

もろもろの理不尽さの中で、ひたすら耐えるだけの年月の重み
は、読んでるだけで胸押しつぶされそうでした。
これだけで終われば、なんとも重苦しい作品になってしまった
ところでしょうが、最後に明かされる、一つの光・・・
苦い味を口いっぱいに味わったあとに、一滴垂らされた
清涼な水のような読後感でした。

乙川さんの作品は、コレが初読です。
一見、藤沢周平氏の作品に似た雰囲気もありますが、乙川さんの
作品から立ちのぼる「心の揺らぎ」のようなものが、私には
とても好ましく感じます。

藤沢作品は、すばらしく端正な作品が多いのですが、私にとっては
あまりにも「整いすぎてる」と感じて、いまひとつ惹きつける
ものが弱いんです。

ま、これは、あくまでも私個人の好みの問題ですので・・・
藤沢ファンの方、ごめんなさいm(_ _)m

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「さざなみ情話」 

【内容】
遊女ちせを身請けするために、ひたすら仕事に打ち込む船頭の修次。
社会の底辺にありながら、けっして希望を捨てずにけなげに生き抜く
人々の姿を静謐な筆致で描く長篇時代小説。(「BOOK」データベースより)

江戸の世を生きる人々を、淡々と静謐に描き出す彼の作品には
、とても魅了されます
が・・・・・・今作品は、少々、気持ちが引いてしまいました。
底辺で生きる二人を実に丁寧な筆致で描いてるんですが、あまりにも
その苦難の様子がくどいまでに描かれてて、正直読んでるだけで
暗~~~い気持ちになってしまいます(-"-)

閉塞した状況を耐え忍ぶ2人の姿を、ここまでとことん描く粘り強さ
には感心しますが、読んでるほうまで心塞がれてしまって、ページを
繰るのが苦痛なほどです。

でも、最後に救いある結末を持ってきたのは、さすがに乙川さん!
ただし、この結末だと、2人の「その後」は明暗両方にとれるような
気もしますけど^^;

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「5年の梅」

各作品をとおして再生をテーマにしているせいか、とても温かい目線を
感じて、読後感よかったです♪

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